厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患政策研究事業

乳幼児期に重度視覚障害をきたす難病の
遺伝学的診断と長期的診療体制の構築

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“視覚難病の早期診断と予後向上のために”

 子どもの視覚は発達途上で、とくに乳幼児期は視覚刺激に対する感受性が高い時期です。 視覚が発達する感受性期間に何らかの疾患が起こり、適切な刺激が遮断されると、高度の弱視(視覚障害)となり、生涯、眼鏡をかけても視力が出ません。 また、両眼の視線が合致しない斜視が起こると、両眼で物を立体的に見る機能が発達しません。 未来を担う子ども、ひとりひとりの視覚をよりよく発達させるためには、異常を早期に発見して適切な治療やケアを行うことが大切です。

 子どもに重篤な視覚障害をきたす疾患の約90%は0歳で発症し、その半数以上は先天素因が原因です。 中でも難病に指定されているレーバー先天盲(早発型網膜色素変性症)、前眼部形成不全、無虹彩症や、中隔視神経形成異常症、チャージ症候群、 ジュベール症候群など眼異常を初発症状とする先天異常症候群のお子さんでは、視覚情報が欠如することによって心身の発達にも重大な影響を及ぼします。 これらの難病は、発病機序が未だ解明されておらず、治療手段が確立していない稀な疾患であるため、これまで、どのように診断やケアを行っていけばよいか十分に検討されてきませんでした。 しかし、感受性の高い早期に異常を発見し、疾患のタイプを診断し、視覚がどこまで発達するか、どのように変化しうるかを判断して、早期に治療やリハビリテーションに取り組むことが、 一生の障害の程度を大きく左右します。

 我が国では聴覚と異なり、視覚に対する新生児スクリーニングや遺伝子検査の導入が未だありません。 私達は、視覚難病を多く診療する立場として、早期診断と病態解明に取り組み、将来の新しい治療の導入に役立つよう、 乳幼児期の診療体制の確立をめざす研究を行うこととしました。令和2年度から、全国の関係者の方々、関連学会と連携した活動を始めています。

 本ホームページには、視覚難病に目を向けて頂くための情報提供、各疾患の診療の実態調査、早期発見・早期診断のための手引き、 眼や全身の併発症に対する長期的管理、教育機関と連携したロービジョンケア、および各疾患に関する新たな知見を掲載し、 視覚難病のお子さん方を支援していきたいと思います。


令和3年3月

国立成育医療研究センター 小児外科系専門診療部 眼科
研究代表者 仁科幸子

令和5年度 研究体制

【研究代表者】
仁科 幸子 国立成育医療研究センター・眼科診療部長
【分担研究者】
堀田 喜裕 浜松医科大学・眼科教授
外園 千恵 京都府立医大・眼科教授
近藤 峰生 三重大・眼科教授
永井 章 国立成育医療研究センター・総合診療部長
【研究協力者】
深見 真紀 国立成育医療研究センター研究所・副所長
小崎 里華 国立成育医療研究センター遺伝診療科・診療部長
鳥居 薫子 浜松医大・眼科
鎌田 さや花 京都府立医大・眼科
原田 純直 三重大・眼科
轡田 志穂 国立成育医療研究センター・総合診療科
林 思音 国立成育医療研究センター・眼科
吉田 朋世 国立成育医療研究センター・眼科
安齋 葉月 国立成育医療研究センター・眼科
【研究事務補助】
桑原 彩 国立成育医療研究センター・眼科
三枝 輝代 国立成育医療研究センター・眼科

令和3年度 研究体制

【研究代表者】
仁科 幸子 国立成育医療研究センター・眼科診療部長
【分担研究者】
寺﨑 浩子 名古屋大・特任教授・眼科
日本学術会議会員・日本眼科学会戦略企画会議議長
不二門 尚 大阪大学・特任教授・眼科
日本ロービジョン学会理事長
堀田 喜裕 浜松医科大学・教授・眼科
日本人類遺伝学会・臨床遺伝専門医指導医
東 範行 国立成育医療研究センター・眼科
日本小児眼科学会理事長
永井 章 国立成育医療研究センター・総合診療部長
【分担研究者】
神部 友香 埼玉県立小児医療センター・眼科 科長兼副部長
横井 匡 国立成育医療研究センター・眼科医長
林 思音 国立成育医療研究センター・眼科
吉田 朋世 国立成育医療研究センター・眼科
森川 葉月 国立成育医療研究センター・眼科