長期管理マニュアル
乳幼児の視覚難病の長期管理においては、合併症について、どんな点に注意して一般眼科医がフォローアップし、病診連携を行うかが大事です。
1. 注意すべき眼合併症
- 視力低下 ことに視力の悪い方の眼は気づきにくい
- 角膜混濁の進行、帯状角膜症
- 角膜内皮と実質の障害進行、無虹彩での上皮変性、帯状角膜症
- 白内障の発生と進行
- 緑内障
- 網膜変性・視神経障害の進行
- 増殖組織の晩期収縮による網膜牽引
- 後部硝子体剥離に伴う網膜硝子体出血、裂孔形成
- 硝子体の変化あるいは網膜変性に伴う晩期裂孔原性網膜剥離
- 廃用性(感覚性)斜視
2. 長期管理について
難治性の眼科疾患を持つ小児は、その疾患の影響が長期にわたることから、診断・治療後も継続して管理を受ける必要がある。 視覚を助けるデバイスや、外見上の問題を解決する方法なども、年齢に応じて適切に提案されるべきである。
難治性の眼科疾患の合併症として、上記のように、角膜混濁(帯状角膜症、角膜内皮と実質の障害進行、無虹彩での上皮変性など)、 角膜感染症、白内障・緑内障の発生および進行、網膜変性・視神経障害の進行、増殖組織の晩期収縮による網膜牽引、 後部硝子体剥離に伴う網膜硝子体出血・裂孔形成、硝子体の変化あるいは網膜変性に伴う晩期裂孔原性網膜剥離、 眼球萎縮(眼球癆)、廃用性(感覚性)斜視などが挙げられる。 特に視力低下後や失明後には患者本人が症状に気づくことが困難であることが多いため、眼科医の定期的な診察が非常に重要となる。 また全身疾患を合併する症例では、発達遅延や自傷行為の有無も加味し、より慎重な観察を要する。
診察の内容としては、問診、一般的な前眼部検査、視力検査、眼圧検査、眼底検査や光干渉断層計(OCT)の他、 出来るようであれば定期的な視野検査を行う。そのほか斜視や眼球運動障害があれば斜視検査も追加する。
特に問診は重要であり、新しく困っていることや気になることがないかを聞き、それに応じた診察や生活に対するアドバイスを行う。
定期検査の間隔として、乳幼児期は3か月おきの管理が望ましく、学童期以降で、症状が安定していれば、半年もしくは1年毎に延ばす。 眼圧上昇、網膜剥離等の緊急手術を要する症状が見られた場合は速やかに専門施設へ紹介する。 角膜混濁に対する虹彩付きコンタクトレンズや、眼球癆に対する義眼装用、羞明に対する遮光眼鏡や斜視に対する 斜視手術等についても必要に応じて提案する必要がある。
難治性の眼科疾患による視力低下・視野障害は、小児の発達、日常生活、学習に大きな影響が出る。 早期から視機能の予後、全身疾患の有無、合併症のリスクを評価し、特別支援学校などの教育施設とも連携を取ることが重要である。 学習の手助けとして、タブレットのカメラ機能の活用や、ルーペ・単眼鏡・拡大読書機の使用、拡大教科書の提案などを行う。
視覚障害者に該当する場合には、小児期から他覚的検査を駆使して視機能を評価して申請をすすめ、各種の補助や支援を受けられるよう配慮する。
小児は平均余命が長く、それだけ管理期間も長くなる。変化がないからと眼科から足が遠のく事態をなるべく避けるため、 保護者や本人との信頼関係の構築が大切である。視覚はQOLの大部分に直結する。 小児や保護者が悩んだときに、適切なアドバイスを行うことが出来るよう、日々最新の情報に注意を払って診察に臨むべきである。
(東 範行・吉田朋世)
